「CICのデータはもう消えているはずなのに、なぜか審査が通らないキャリアがある」——そんな経験をした方は少なくありません。
今回、30代のころにドコモ・au・ソフトバンク3社で携帯料金を払えなくなった経験を持つ50代女性のAさんに話を聞きました。CICの保有期間(5年)をはるかに超えた現在でも、一部のキャリアでは審査保留になることがあったといいます。
Aさんが実際に複数のキャリアへ申し込んだ結果を、そのまま公開してもらいました。
社内ブラックとCICブラックは別物
まず大前提として、「ブラック」には2種類あります。
| 種類 | 管理している機関 | 主な内容 | 消えるまでの期間 |
|---|---|---|---|
| 信用情報ブラック | CIC・JICC(第三者機関) | 端末の分割払い滞納など | 完済・解約から最長5年 |
| 社内ブラック | 各キャリア(独自管理) | 通話料金・通信料金の未払い | 未払いが続く限り消えない |
CICのデータが消えていても、キャリアが自社内で保有している未払い記録は別です。ドコモ・au・ソフトバンクそれぞれが独自のデータベースで管理しており、5年経っても10年経っても、未払い額を支払うか時効援用をしない限り記録は消えません。
「CICのデータが消えた」=「債務が消えた」ではない【重要】
ここは特に誤解されやすいポイントです。
CICなどの信用情報機関は、情報を一定期間(5〜10年)保有したあとに削除します。しかし情報が消えるのはあくまで「記録」であって、未払い金そのものは消えていません。
債務(未払い金)が法的に消滅するには、時効援用(じこうえんよう)という手続きが必要です。
- 携帯料金の消滅時効は原則5年(商事債権)
- ただし、時効は自動的には成立しない
- 内容証明郵便などで債権者に「時効援用の意思表示」をして初めて効力が生じる
- 時効が成立する前に請求・督促が来ると、時効がリセットされる場合もある
「20年以上経っているから大丈夫」と思っていても、援用をしていなければ法律上の債務は残っています。時効援用については弁護士・司法書士への相談をおすすめします。
Aさんの状況:3大キャリア全部に未払いがあった
Aさんは30代のころ、経済的に苦しかった時期にドコモ・au・ソフトバンクの3社すべてで約2ヶ月分の料金を未払いのまま解約しています。現在50代で、CICの情報保有期間(5年)はとっくに過ぎていますが、時効援用は行っていないため、法的な債務は残っている状態です。
この状況でAさんが実際に複数のキャリアへ申し込んだ結果が以下の表です。
申し込み結果一覧
| キャリア・MVNO | 結果 | 系列 | 備考 |
|---|---|---|---|
| OCNモバイルONE | ✅ 契約できた | NTT系 | 問題なし※現在申し込み終了 |
| 楽天モバイル(回線) | ✅ 契約できた | 独立系 | 回線のみ通過 |
| 楽天モバイル(残価設定プラン) | ❌ 審査落ち | 独立系 | 端末分割は別審査 |
| mineo | ✅ 契約できた | 独立系MVNO | 現在も利用中 |
| povo | ✅ 契約できた | au系 | 現在も利用中 |
| NUROモバイル | ❌ 審査落ち | 独立系MVNO | 独自審査基準 |
| LINEMO | ⚠️ 審査保留→辞退 | ソフトバンク系 | 確認電話が来た |
注目ポイント:au系のpovoとドコモ系のOCNが通っている
ここが今回の取材で最も興味深い点です。
Aさんはau・ドコモ・ソフトバンク全社に未払いがあります。それにもかかわらず、au系のpovoもドコモ系のOCNも契約できています。一方、ソフトバンク系のLINEMOだけが保留になりました。
ここから推察できることは主に2点です。
推察①:2ヶ月分程度の少額未払いは審査に引っかからないキャリアもある
未払い額が少額(2ヶ月分)であれば、キャリアによっては社内ブラックのフラグが立っていないか、審査上の閾値以下として扱われている可能性があります。大規模な滞納と少額の未払いでは、扱いが異なるケースも考えられます。
推察②:ソフトバンクは社内審査の確認プロセスが厳格
同じ条件でドコモ系・au系は通過している中、ソフトバンク系のLINEMOだけが保留になったことは示唆的です。ソフトバンクは未払い情報の照会・確認プロセスをより厳密に行っている可能性があります。
実際にAさんは以前、ソフトバンクの店頭で「残りの未払い額を支払えば契約できますよ」と案内された経験があります。これはソフトバンク社内で未払い記録が確認できており、支払いで解除可能なことを意味します。
回線審査と端末分割審査は「別の審査」
Aさんは楽天モバイルで回線契約はできたのに、残価設定プランの端末購入は否決されました。
この2つは審査の仕組みが違います。
- 回線契約の審査:キャリア独自の審査(社内データ・支払い能力など)
- 端末分割払いの審査:信販会社(楽天カード・ジャックスなど)によるCIC・JICCへの照会
「回線は通ったのに端末分割が通らない」ことは普通に起こります。端末を分割で購入したい場合は信販審査が別途入るため、端末は中古スマートフォンを一括購入するのが確実な方法です。
社内ブラックのまま申し込む際の3つのポイント
1. 未払いのあるキャリアの直営ブランドは慎重に
ソフトバンクに未払いがあるなら、ソフトバンク・ワイモバイル・LINEMOは審査が厳しくなる可能性があります。同様に、ドコモに大きな未払いがあればdocomo・ahamoも同じ可能性があります。
ただし今回のAさんの事例では、少額(2ヶ月分)であればpovo(au系)やOCN(ドコモ系)でも通ったことが確認されています。金額・期間・個別の状況によって結果は異なります。
2. 回線契約と端末購入は分けて考える
まず回線だけ契約して通信を確保し、端末は中古スマートフォンを一括購入するのが最も確実な方法です。
3. 未払い額の清算か時効援用を検討する
社内ブラックを根本的に解消するには、未払い額の支払いが必要です。ただし連絡を取ることで時効の進行が止まる可能性があるため、時効援用を先に検討するか、弁護士・司法書士に相談してから動くのが安全です。
まとめ
3大キャリアすべてに2ヶ月分の未払いがあるAさんの体験からわかったことをまとめます。
- CICデータが消えても、キャリアの社内データと法的債務は別物
- 少額の未払いであれば、au系・ドコモ系のサービスで通ったケースがある
- ソフトバンク系(LINEMO・ワイモバイル)は審査確認プロセスが厳格な可能性がある
- 回線審査と端末分割審査は完全に別。回線OKでも分割はNGになる
- 独立系MVNO(mineo・楽天モバイルなど)は比較的通りやすい傾向がある
「なんで通るキャリアと通らないキャリアがあるのかわからない」という方の判断材料になれば幸いです。
よくある質問(FAQ)
Q. 社内ブラックはいつ消えますか?
A. 未払い額を支払うか、時効援用の手続きをするまで消えません。5年・10年経っても自動的には消えないため、注意が必要です。
Q. 3大キャリアに未払いがあってもMVNOは使えますか?
A. MVNOは独自の審査基準を採用しているところが多く、大手キャリアの社内データを直接参照しないケースがあります。mineo・楽天モバイルなど独立系MVNOは比較的通りやすい傾向があります。
Q. 社内ブラックかどうか自分で確認できますか?
A. 各キャリアの社内データは一般向けに開示されていません。過去に未払いのまま解約・強制解約された覚えがある場合は、社内ブラックに登録されている可能性が高いと考えてください。
Q. 時効援用とは何ですか?
A. 一定期間(携帯料金は原則5年)が過ぎた債務について、法律上「返済義務がなくなった」と主張する手続きです。自動的には成立せず、内容証明郵便などで意思表示する必要があります。弁護士・司法書士への相談をおすすめします。
Q. 端末を分割購入したいのに審査が通りません。なぜですか?
A. 端末の分割払いは回線契約とは別に、信販会社によるCIC・JICC照会が入ります。回線の社内審査とは独立した審査のため、回線は通っても端末分割が通らないケースがあります。


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